「もし自宅で、心臓マッサージが始まった場面に出くわしたら」をテーマにOMC勉強会を開催しました。川崎市立井田病院緩和ケア科の西智弘先生に事例を紹介してもらいました。今回は、事例のような場面に遭遇したとき、自分だったらどうするかを中心に一人ひとりに考え、話し合ってもらった後、実際に西先生がどのような行動をとられたかを伺いました。

■延命治療を望むか望まないか、本人と家族で意見が分かれたケース

【事例の要約1】

肝転移している胃がんが見つかった82歳男性。腫瘍内科に紹介され、抗癌剤治療をするも副作用で継続できず、緩和ケアに専念することに。ある時、腹痛と食欲不振で緊急入院、徐々に衰弱が進んでいった。ご本人に今後の過ごし方の希望を聞くと、自分の代々の先祖が最期を迎えた仏間で自分も最期を迎えたい、これ以上苦しい治療は希望しないということだった。

そこで家族にも病状説明を行い、ご本人の希望を伝えたところ、家族の1人が、本人は生きたい思っているはずだ、1分1秒でも生きてほしいから病院にいたほうだ安心だ、本人のことは誰よりも家族が分かっているし、医者と家族の間には埋められない深い溝があると思うと、激高した。

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この場面で自分ならどのような言葉をかけるか、一人ひとり考えました。

西先生は、次の2つのポイントを重視して言葉をかけたところ、家族が納得されたそうです。

「否定しないこと」

「患者さん本人に主語を戻す」

まず家族の気持ちを受け止め、ご本人の言葉を使いながら、話の主語をご本人に戻してあげることが重要なのではないか、とのことでした。

■自宅で心肺停止し、ご家族が心臓マッサージを始めていた場合

【事例の要約2】

2週間後の朝、家族から「息をしていません。早く来てください」と電話があった。行ってみると10名以上の親戚や友人が集まり、全員がパニック状態。中心にはぐったりと横たわるご本人と、心臓マッサージを続ける家族の姿があった。

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このような現場で、もし医師の立場だったらどのような行動をとるか、参加者で考えました。西先生は、次のコミュニケーションスキルを用いたといいます。

「ペーシング」

ペーシングとは、相手の話し方や状態、呼吸に自分が合わせることです。相槌もその1つです。ペーシングには、あえてワンテンポずらすペーシングという方法があるとのこと。すると、話している相手は話しにくくなり、話しがペースダウンするそうです。ペーシングを使って、周囲の人たちが徐々に静かになり、心臓マッサージをしていた家族も冷静になる。その状態になるまで待ったことで、診察でき、お看取りをすることができたとのことでした。

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次回のOMC勉強会は、令和1年5月10日(金)です。「がん末期患者を在宅で支えるためのチームケア」をテーマにした事例検討会を予定しています。ぜひ奮ってご参加ください。