2018/01/19
第11回OMC勉強会レポート「最期まで目一杯生きる」
2017年12月14日に開催したOMC勉強会では、外科医から緩和ケア医となり、2017年4月に「緩和ケア萬田診療所」を開設された萬田緑平先生をお招きしました。萬田先生が年間200名を看取る過程で、考えたことを、たっぷり2時間かけて伝えていただきました。
萬田先生は「こういう考えもいいなと思ってもらえると幸せです」とおっしゃっていました。多数の動画で、患者さんやご家族の様子を紹介していただきながら、和やかな講演会となりました。
=====萬田先生が伝えていること=====
患者さん本人が最期まで治療を頑張りたいと思うならそれでいいと思いますが、本人の意思に反して頑張る選択肢しかないのは、本人にとって辛いことです。そしてそのような状況に置かれている患者さんは大勢います。そのようになってしまうのはなぜでしょうか―。多くの場合、家族の望みや医師の勧めで、患者さん本人の人生の最終章を決められてしまっているからです。
ご家族が、患者さんが亡くなることを認められず、本人が死を受け入れているにもかかわらず頑張らせ続けられる。患者さんにとっては、最も分ってほしいご家族に分かってもらえない―。こんなに辛いことはありません。この差はなぜ生まれてしまうのでしょうか。
ご家族にとって、患者さんの様態悪化が「急変」と映ることが要因の1つではないでしょうか。まだ元気だと思っているところに、患者さんの様態が悪化することで、「あれもやってない」「これもやってない」「親孝行できていない」と思い、できる限りの延命治療を望む―。そのようなご家族をたくさん見てきました。
しかし患者さんご本人の視点で考えるとどうでしょうか?急に悪くなったのでしょうか?もちろん「まだ死にたくない/辛い治療はしたくない」と、相反する思いは持っていると思いますが、これは本人にとっては予定通り、少なくともご家族が思うほど「急変」だとは思っていないと思います。
「親孝行をしていない」と言うご家族をたくさん見てきました。反対に、親孝行が完了した人も、見たことがありません。親孝行の定義は難しいです。しかし、親孝行とは「生んで育ててくれてありがとう」と親に伝えることだと思います。そして親からしてもらったことは、次の世代にしてあげればいいのではないでしょうか。
そのようなことをご家族に分かってもらい、人生の最終章のシナリオは、患者さん本人の描いた通りにしてあげる。本人が「生きていてよかった」と思える雰囲気するために、“本人が望むことを叶える家族を支えること”が緩和ケア医の役割だと考えています。
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