今回は「医療の必要性を感じていない在宅末期がん患者への関わり」をテーマに、事例検討会を開催しました。今回は日吉慶友クリニックが事例を提案し、医療・介護従事者としてどのように介入していけば良いのか、参加者がグループになり、話し合いました。

【今回の事例】

患者:Kさん 80代 男性
病名:胃がん末期、腹膜播種、高血圧

当院外来へ通院していた患者。
腹部症状や体重減少により病院受診し消化器系の癌の診断あり。
手術・化学療法を開始するも副作用出現ありBSCの方針となる。
病院側より在宅介入の依頼あるも歩いて行ける間は通院させたいと希望あり病院受診継続していた。
全身状態悪化し当院在宅診療導入となるも診療拒否あり、CMや介護サービスの利用無くサービス介入を拒否していた。
何とか診療をしていたがさらに状態悪化進み薬剤調整するも内服コンプライアンスは悪い。
本人と妻より介護サービス導入希望あり介護申請進めるもサービス介入はうまく進まなかった。
食事摂取量さらに低下、疼痛増強していた為ため麻薬の使用を開始。
ADL低下し褥瘡発生するも介護ベッド導入進まず緩和ケアの話も進まず家族の疲労や負担が増すばかりであった。

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症例の情報を整理した後、西先生から次のような問いかけがありました。
「この事例のどこに問題点があり、どうすればより良いマネジメントにつながるか、考えてみてください。」

【事例に対して出た意見】

・本人が自分の体の理解が不十分なことが問題。最初の段階で病気の詳細を伝えて理解してもらうべきだったのではないか。
・細々と支えながら本格的な支援に入る体制は常に準備しておき、本人が困ったタイミングで声をかけるのが、大切ではないか。
・本人の体調が安定しているうちに、本人だけでなくその家族に今後の処置について考えてもらう方がいいのではないか。
・関わる人を周囲に多くつくり、巻き込むことが大切ではないか。
・たくさん連絡をとりあって、ネグレクトの感じがあれば、地域包括支援センターにすぐに連絡するのがいいのではないか。
・問題は、主語はなにかということ。主語を捉えると介入の方向性が決まると思う。つねに主語は変化するので注意が必要。
・医療や介護の分野だけでなく、本人が安心して本音を話せる第三者に介入してもらうことが大切ではないか。

【患者さんと共通基盤を見出す重要性】

西先生は、「この勉強会活かして、地域と地域でつながりをもてば、よりよいマネジメントができるのではないかと思います」とおっしゃっていました。

事例を紹介した日吉慶友クリニック在宅診療部の阿部先生は「患者さんの人となりを知ることが大事で、全人的にその人の価値観を理解すると、家族の人間関係も自然と見えてきます。それを踏まえ、患者さんとの共通基盤を見出すことが大切です。今回患者さんと早期から、『安らかな死』を共通認識として持つことはできていたので、介入できず医療面を考えると心苦しいと思う時も、患者さんが求めるまで待っていました。しかし、いつでもサポートできるようにするため、電話での連絡を欠かさないようにしていました」とおっしゃっていました。

参加者からのアンケート結果