今日は「もの忘れ」と「認知症」の違いをテーマに、簡単な解説をしたいと思います。

認知症を発症されている方は212年の時点で462万人、2025年には700万人を突破すると言われています。ますます認知症の方が増えるいま、必要なことは早期に認知症があることを知り、適切な治療やサポートを受けられる状態にすることです。そのためには、ご家族や周囲の方が、認知症を発症した方の異変に気がつくことがとても大切です。そこでどんな人にも起こるもの忘れと、認知症の違いを知っておいていただければと思います。

まずもの忘れについてです。もの忘れは、歳を重ねるとどんな人にも生理的に起こります。代表的な症状といえば、例えば

1)ど忘れ(その場でどうしても思い出せないけど、後になって思い出す)

2)置き忘れ(携帯電話やメガネなどをどこかにしまい込み出てこなくなるが、後で見つかる)

3)動作の抜け(買い物に行き、帰ってきた後などに買い忘れた物があることに気が付く)

などがあります。もの忘れは、ご自身が「何かおかしい」と気付いていて、症状の変化はなく、進むこともありません。

一方の認知症は、ご自身に「忘れていること」の自覚がありません。具体的症状としては

1)動作や出来事の全体を忘れる

2)日付や季節、場所が分からなくなる

3)日課の仕事や趣味に関心・意欲がなくなる

4)家事や仕事がうまくできなくなる

などです。このような症状から、抜け落ちをごまかすために作り話をするようになる、季節違いの服を着る、出先で迷子になる、イライラして怒鳴ったり騒いだりするようになる、など日常生活にも支障をきたすような行動が出てきます。

認知症にはさまざまなタイプがあるので、神経心理学的検査や頭部のCT・MRI検査、脳SPECT・PET検査などで、認知症の有無と、どのようなタイプの認知症かを診断し、必要な治療を行なっていきます。どのようなタイプの認知症なのかを見極めることで、適切な治療・サポートができ、結果として改善したり悪化を防いだりすることができます。だからこそ、ご家族や周囲の方々が症状に気付き、早めに受診につなげていくことが重要なのです。