患者さん本人に予後(余命)を知らせるか、知らせるとしたらどのタイミングかなど、予後(余命)の告知は医療者にとってもご家族にとっても難しい問題です。今回は理事長の田上が、アメリカでの予後(余命)告知に関する報告を紹介します。

2017年8月に発行された「Journal of Clinical Oncology」という医学誌に、“進行がん患者さんに対して予後(余命)を伝えると生活の質(QOL)を低下させる”との報告がありました(「Coping and Prognostic Awareness in Patients With Advanced Cancer」)。

アメリカの病院で、新たに治癒不能と診断された進行がん患者さん(n=350)の予後(余命)と、治療目標・健康状態・ストレス対処・生活の質(QOL)・精神状態の関連を評価しました。結果、予後(余命)告知がされた末期状態の患者さんの生活の質(QOL)は低下し、抑うつ・不安がみられました。反対に、主治医が治療目標を「がんを治すこと」と伝えた患者さんの場合は、生活の質(QOL)が高く、不安が少なかったと報告されました。

患者中心のケアを考えると、適切な予後(余命)を知らせることは必要ではありますが、同時に、予後(余命)を知った患者さんが抱えるストレスに対処するケアも不可欠です。今紹介したのは海外での報告で、日本ではアメリカとはまた違った精神性があります。そのため日本でも、予後(余命)の告知について、さらに深く議論が必要だと考えています。