患者さんからしばしば、癌の予防に抗酸化サプリメントは効果があるのかと質問されますので、ここで簡単に解説します。

抗酸化物質とは、癌につながる細胞の傷害を引き起こす可能性があるフリーラジカルの働きを抑える化学物質です。抗酸化物質のなかには、体が自然に作るものもあれば、食物やサプリメントなどで摂り入れることが可能なものもあります。摂取できる抗酸化物質には、ベータカロチン、リコピン、ビタミンA、CおよびE(アルファトコフェロール)、セレンなどがあります。細胞や動物を使った研究では、抗酸化物質は癌予防の可能性も示唆されています。

しかしヒトを対象にした研究は、 現在まで世界各地で実施されていますが、抗酸化サプリメントを摂取することによって癌の発症リスクや死亡リスクが下がることは、いまだはっきりと示されていません。試験結果はさまざまですが、なかには、抗酸化サプリメントを摂っている人のほうが、癌を悪化させることが明らかになった試験もあります。

癌の治療中に、抗酸化サプリメントを摂取することの有益性や有害性について、明確な科学的証拠を得るためには、今後大規模な研究が実施される必要があります。がん患者に及ぼす抗酸化サプリメントの影響の理解が、さらに進むまでは、サプリメントの摂取には注意を払うべきです。もしサプリメントを使用する場合は、どのようなサプリメントでも、そのことを主治医に報告するようにしましょう。